ふるさと納税自体に興味はあっても、仕組みがいまいち理解できない、何となく難しそうだと挑戦できずにいる人は少なくないでしょう。そこで、今回はふるさと納税制度とはどういう制度なのか、基本的な仕組みやメリットなどをご紹介していきます。気になっていたという方は、ぜひ参考にしてみてください。
ふるさと納税の目的と仕組み
ふるさとや他の地域を応援するための制度
日本の各自治体は、基本的に各々の税収で財政を賄っています。税収は人口に比例するため、都市部への人口流出が深刻な地方都市の中には、財政事情の厳しい自治体も少なくありません。
しかし、住民が安心して暮らせるよう医療や教育、子育て支援の拡充を目指すことはおろそかにできないのも事実です。そこで誕生したのが、「ふるさと納税」です。
ふるさと納税は、自分の好きな地域を選んで納税という名の寄付をすることで、財政悪化に陥っている自治体を応援できます。現在の自分の住まいとは関係なく寄付先を選べるため、ふるさとから遠く離れた地に住んでいてもふるさとに貢献できるのが魅力です。
自分で地域を選べて寄付すると返礼品がある
ふるさと納税では「自分の出身地を盛り上げたい」と離れた地域からでも自分のふるさとに寄付ができますし、それ以外でも自分の居住地や出身地に関係なく寄付先を自分で選べます。
各自治体は自然保護や子育て環境の整備などさまざまに寄附金の使い道を掲げているので、自分が賛同できる使い道を示している地域を応援するため、ふるさと納税をする人も多いようですよ。
また、ほとんどの自治体は寄付者に対して返礼品を用意しています。返礼品は肉・魚・野菜・果物など地域の特産品やホテルや旅館の宿泊券など、バラエティ豊かです。寄付者は返礼品を受け取れ、自治体は地元の魅力的な返礼品を送ることで、さらなる魅力のアピールができるとあって、ふるさと納税は双方に利点があるシステムです。
ふるさと納税をするメリット
所得税の還付と住民税の控除が受けられる
ふるさと納税は、地域貢献や返礼品をもらえるほかにもメリットがあります。それが、所得税の還付と住民税の控除を受けられることです。
ふるさと納税は「納税」という名前ではありますが、実際は地方自治体への寄付です。そのため、各自治体に寄付をした金額に応じて、所得税及び個人住民税が軽減される寄付金控除として取り扱われます。
つまり、金額に上限はありますが、寄付金額から自己負担の2,000円を引いた金額が翌年の個人住民税より減額(控除)されます。
なお、確定した控除額は寄付の翌年の5~6月に勤務先に届く「住民税決定通知書」で確認できます。 (実際の書面には、「給与所得等に係る特定市(区)民税・県(都・府・道)民税特別徴収税額の決定通知書」などの名称が書かれています)
実質2000円で地域の特産品をもらえる
上述の通り、ふるさと納税ではいったんは任意の自治体へ寄付をするのですが、寄付額から2,000円を引いた額が翌年の住民税から軽減される仕組みになっています。つまり実質的な寄付額は2,000円となるわけです。
ふるさと納税では、寄付額の大部分が翌年の納税額から控除されるだけでなく、多くの自治体では寄附のお礼として返礼品を贈ってくれます。新鮮な海の幸や山の幸・ブランド肉・銘柄米、観光に力を入れている自治体なら旅行券や宿泊券が返礼品の場合もあります。自治体側も地元の魅力を最大限アピールするため、その土地ならではの希少な品を返礼品として用意しているのです。
こうした素敵なアイテムを、実質2,000円の寄付だけで受け取れるのですから、ふるさと納税は多くの人にとって大変魅力的な制度だといえるでしょう。
ふるさと納税で税控除を受けるための注意点
寄付を行う前に税控除の条件を確認
原則としてふるさと納税による税金控除は、寄附をする人が納税者である場合に受けられます。
例えば、収入がない専業主婦が自分の名義でふるさと納税をしても控除の面で得はしません。アルバイトやパートをしている主婦や学生でも、給与所得が103万円以下であれば寄附による控除は発生しないので注意しましょう。
また、実質自己負担2,000円でふるさと納税を行える上限額は、寄付者の年収や家族構成などで違うため、これもあらかじめ確認が必要です。控除額の上限を超えた場合、超過分は控除の対象外で自己負担となります。
このように、税控除にはさまざまな条件があるので、効率的にふるさと納税を行うためにも自分の控除上限額をしっかり把握することが大切です。
税金の控除を受けるには手続きが必要
ふるさと納税をした後に、税金の控除を受けるためには「確定申告」もしくは「ワンストップ特例制度」のいずれかによる申請手続きが必要です。
確定申告は、寄付した翌年の3月15日までに税務署へ必要事項を記入した確定申告書に寄付金受領証明書を添えて提出します。
一方のワンストップ特例制度は、年間の寄付先が5つの自治体までなら確定申告をしなくても寄付金の控除が受けられる仕組みです。
ふるさと納税の手続き後、寄付先の自治体から送付される申請書と本人確認書類を翌年の1月10日までに寄付自治体に送ることで、適用分の金額が住民税から控除されます。ただしワンストップ特例制度が利用可能なのは、本来確定申告の必要がない給与所得者等(年収2,000万以下のサラリーマンや年収400万円以下の年金受給者など)に限られます。
まとめ
ふるさと納税は、自分が選んだ地域の活性化を応援できるだけでなく実質2,000円の負担だけでその土地ならではの魅力的なアイテムを返礼品として受け取ることができます。
税控除を受けるために仕組みや条件を確認しておく必要はありますが、手続き自体はそれほど複雑ではないので社会貢献の一つとして気軽にふるさと納税を活用してみてはいかがでしょうか?