「パートはふるさと納税を利用できないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。ふるさと納税は寄付のため、パートであっても利用できます。しかし、何も調べずに使ってしまうと損をしてしまうパターンもあります。そこでこちらでは、ふるさと納税を賢く活用するにはどうすればよいかなどをご紹介します。
ふるさと納税は誰でも利用できる制度
誰でも寄付をすれば返礼品をもらえる
ふるさと納税とは、地方自治体へ行う寄付です。返礼品とは、寄付に対するお礼の意味で各地域から送られてくる品物のことを指します。
かつては競うように豪華な返礼品が送られていましたが、2019年の法律改正により規制が設けられました。規制の内容は「返礼の割合は3割以下にする」「地元の名産品である」というものです。
規制が設けられたとはいえ、現在でも国産の高級牛肉・カニやウニなどの海産物・フルーツや採れたて野菜など人気の品々が用意されています。
自分に縁のあるの土地への寄付として、ふるさと納税を利用する方もいるでしょう。一方、魅力的な返礼品を目的に選ぶ方もいます。いずれにせよ、自分の寄付が地域のためになり、返礼品や感謝の言葉などがもらえる嬉しい制度です。
税金控除が受けられるのは納税者のみ
ふるさと納税をすれば誰でも、得をすると考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。ところが実際のところは、得をするのは「税金を納めている人のみ」です。
なぜなら、ふるさと納税がお得といわれる所以は、所得から寄付分を控除することで所得税や住民税の納税額を減らすことにより、実質2,000円で返礼品を受け取ることができるからです。
このことからも分かるように非課税の方や非課税世帯はもともと納めるべき税金がないため、寄付金控除を受けられません。したがって、ふるさと納税をした場合、全額が純粋な寄付となってしまいます。
もちろん特定の地域に思い入れがあって、純粋に応援したいという気持ちから寄付することは可能です。しかし、返礼品をお得に受け取るための税額控除は年収などによって上限が決められており、一定の年収に達しないと税金の控除が活かされません。
控除上限額は各種ふるさと納税サイトで早見表やシミュレーションが用意されていますので簡単に調べることができます。
パートでも賢く制度を利用するためのポイント
パート収入よりも収入が高い家族を寄付者に
「パートだけどふるさと納税をしたい」と思う方もいるでしょう。しかし、利用にはメリットと同時に注意点もあります。
パートタイマーとして働く方の中には、年収が配偶者などの扶養範囲内に収まるように勤務を調整している方も多いと思います。
まず、年収100万円以下で所得税や住民税が非課税になっている方は、控除すべき税金がありません。したがって、ふるさと納税をした場合、税額を減らす効果はなく全額が純粋な寄付となります。返礼品の品代と寄付額を比べた時に割高感がでるのは否めません。
一方、年収100万円以上103万円未満(税法上の扶養上限)の場合も「税控除額<寄付額-2,000円」となる可能性が高いでしょう。
そのため、ふるさと納税のメリットを生かす方法は、収入が高い家族名義で利用することです。例えば、会社員の夫とパート職の妻の場合で夫の方がより年収が高いのであれば、夫の名義でふるさと納税を行うと控除される税額は大きくなるため、パートの妻名義でふるさと納税を行うよりも税控除の面ではメリットが大きくなります。
夫婦の収入を合算してふるさと納税は可能?
「夫婦の収入を合算できれば、より多く寄付ができるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、夫婦の収入を合算してのふるさと納税はできません。税金はあくまで個人の所得に応じ課税されるため、ふるさと納税による税控除も個人単位です。
ただ、パートであっても一定額以上の収入があり所得税・住民税が課税されていれば、自分名義でふるさと納税を行い、税控除を受けることは可能です。
一例として、ある共働き夫婦(5歳の子ども1人)の年収と控除上限額の目安を示すと以下のようになります。
- 夫(会社員) 年収500万円 ⇒控除上限額 61,000円
- 妻(パート) 年収300万円 ⇒控除上限額 28,000円
参考:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安表」より算出
子供が中学生以下であれば影響を受けませんが、高校生以上になると所得控除額に関わってきますので注意しましょう。
ふるさと納税を利用するときの注意点
ふるさと納税は一時的な出費になるので計画的に利用
ふるさと納税をすれば、返礼品を受け取れる上に住民税や所得税の控除を受けられるからお得と感じる方は多いでしょう。
しかし、税金の減額はふるさと納税をした翌年に行われるものであることに注意しなければいけません。
つまり、実質2,000円で返礼品をもらえるというのは、翌年の税金の減額分まで考慮したものであるということです。
後に税金から控除されるとは言え、出費が先立つものであるため、家計を圧迫することのないよう計画的にふるさと納税を行うことが重要です。
税金控除を受けるための手続きが必要
ふるさと納税の申込みをしただけで安心している方はいませんか?実は、税金の控除を受けるにはきちんと手続きをする必要があります。
所得税や住民税からの控除を受けるためには、手続き方法が二通りあります。「確定申告」をする方法と「ワンストップ特例制度」を利用する方法です。
個人事業主やフリーランスの方は、ふるさと納税をした翌年の確定申告時に寄付控除欄に記入を行うことで控除手続きを行います。
会社員やパートなどの確定申告の必要のない給与所得者は、ワンストップ特例制度を活用することができます。
ふるさと納税の申込時に、ワンストップ特例制度を利用することを希望するとワンストップ特例申請書が送られてきます。
ただし、ワンストップ特例申請書を使えるのは5自治体までです。給与所得者でも6つ以上の自治体へ寄付したり、ワンストップ特例申請書の提出を忘れたりした場合は、確定申告が必要になりますので気をつけましょう。
まとめ
誰でも利用でき、寄付すれば返礼品をもらえるふるさと納税。しかし賢く制度を活用するには、実質2,000円の自己負担で利用できる年収・家族構成の条件を正しく把握することが大切です。
特にパートの方が自分名義での寄付を検討する場合、年収によっては控除される税金自体が少なく、純粋な寄付になってしまうケースも少なくありません。そのため自分よりも年収の高い家族名義での寄付も検討しつつ、賢く利用したいものですね。